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雄々し剣ヶ峰 |
大山一の沢からの入山は頂上台地の植生保護のために禁止されているが、この時期になると、頂上台地は深い積雪によって植生は覆われてしまう。雪の上を歩くことで植生がダメージを受けることはないと考えている。ただ、桝水ゲートからのアプローチは長く、天候に大きく安全が左右されるため、一般登山者の入山は控えたほうが良いのかもしれない。
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美しい南壁 |
どか雪が降るまでの初冬期や、頂上台地が60cm程度の積雪がある11月などは、ひどいラッセルもなく春山を歩くようで気持ちが良い。特に天候の条件の良い日は最高の気分だ。相棒のOOEとは2回目の一の沢となる。前回は視界不良で景色をみることができなかった。今回はじめて、この絶景をみることができたと満足していた。
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一の沢源頭 |
この時期は持っていく装備に困ることがよくあった。今はあまり困らない。余計なものは置いていきたいと、誰もが考えることだとおもうが、私は冬山に体や装備を慣らすために、スノーシュー以外は持っていくようにしている。どこかで使えるときがあれば使ってみようという気構えで向かえば、山行もより楽しさが増す。
アイゼンもワカンもどこかで使えるとこはないかと探したが、今回は使うところがまったくなかった。いつもはクラストする上部もモナカのままで、キックがよく効いた。ピッケルも後ろに刺したままで、出番はなかった。帰りは前々回と同じく正面を下った。2名の女性がサングラスをして上がってくるところに遭遇した。下降を始めたときに気が付いたため、せっかくのノントレースを下山の私たちが汚してしまって申し訳なく思った。
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冬はすぐそこ
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すがすがしい笑顔で慣れた足運びで上がっていく様は、とてもかっこよく、また美しかった。どこまでも、透き通るような青い空に映える秋の雲。表面がキラキラと輝き一面を埋め尽くす白い雪。絶景に人の心は洗われてどんな山屋の顔も笑顔にさせる。これから雪も深くなり一層危険も増してくる。冬の山は一日どころか、一瞬で状況が変わる。さっきまで何ともなかったのに、ホワイトアウトに巻かれて、気がつけば弥山沢に滑落してしまったこともあった。危険は徐々にやってくるのでなく、突然、致命的なダメージを与えに襲ってくる。安易にWEBの情報を鵜呑みにして自らを危険にさらすことは控えるべきだと考える。山は誰と何処に登ろうが自由だと思うが、強い自制とモラルをもって、大山と対峙していきたいと考えている。